社会保険の加入拡大(2025年 年金制度改正法①)
このたび年金制度改正法が国会で成立し、短時間従業員の方々への社会保険(健康保険・厚生年金)加入が拡大されることとなりました。
社会保険加入の条件はいくつかありますが、労働時間数に限って見てみますと、現在、会社の規模により2つに分かれています。
・週20時間以上勤務で社会保険に加入しなければならない方
・週20時間以上でも週30時間未満(目安。通常の労働者の4分の3基準)の勤務であれば社会保険に加入しなくてもよい方
前者の週20時間以上勤務で加入となるのは、51名以上の企業です。
501名以上→101名以上→51名以上と段階的に企業規模の要件が拡大されてきましたが、今後、どうなるのかが注目されていました。
今回、改正が決まったことで、この企業規模要件が段階的に撤廃され、「週20時間以上」に統一されていきます。
撤廃時期は以下のとおりです。
従業員数(厚生年金加入の人数)
◆36名以上⇒2027年10月~
◆21名以上⇒2029年10月~
◆11名以上⇒2032年10月~
◆全企業⇒2035年10月~
88,000円の基準は?
現在、51名以上の企業において、週20時間以上の勤務であっても、給与月額が88,000円以上でなければ、社会保険には加入できないことになっています。
この88,000円(いわゆる「年収106万円の壁」とも呼ばれています)の基準も撤廃されます。
最低賃金は上昇していますし、週20時間以上働けば、必然的に88,000円は超えてきます。
撤廃時期は、3年以内とされています。
手取り減少に対する支援
短時間従業員の方にとっては、社会保険に加入することで、保険料の負担が生じます。
その分を事業主が負担した場合に、支援策も実施される予定です。
個人事業は?
上記までは従業員自身の条件の話です。
事業所自体としては、法人が社会保険に強制加入であるのに対し、個人事業所は、人数や業種によります。こちらも改正により変わる点があります。
ⓐ従業員数5名未満の個人事業
⇒対象外(任意)です。改正なく従来どおりです。
ⓑ従業員数5人以上の個人事業
⇒現在、業種により、強制加入と任意に分かれています。
※任意であるのは、農業・漁業・飲食サービス業・理美容業など。
改正により、2029年10月以降は業種関係なく対象となります(ただし、すでに存在している事業所は、当分の間、対象外)。
↓詳しくは、厚生労働省のホームページをご覧ください。